愛南町でも屈指の目利きとして信頼されている「きくち水産」。約60年に渡りこの地で仲買人として買い付けを行なっており、現在は3代目の菊地秀太さん夫婦が中心となって切り盛りしている。漁港に水揚げされる希少な「日帰りカツオ」も、気づくときくち水産がほとんどを競り落としていることも少なくない。また、40年ほど前からは買い付けだけでなく、干物や塩漬け、みりん干しなどの加工品も手がけており、水揚げされたばかりの魚を地元のお母さんたちが海沿いにある工場の中で手作業で一つひとつさばいている。「毎日魚が違うからこそ、仲買人の仕事は面白い」と菊地さんが言うように、きくち水産が使うのは旬の魚のみ。その時にしか出会えない、一期一会の味ばかりだ。中でも人気なのは、エソやヒイラゴを使ったじゃこすりみ。地元の愛南町では、産直市など限られたショップで販売、地元の人たちにとっては故郷の味として親しまれている。じゃこすりみは、県内の飲食店からの指名買いや発注があるほど、濃厚な旨味がクセになる一品だ。このじゃこすりみ、町内でしか手に入らないので、見つけたら即購入するのがオススメ。一度は松山市での暮らしを経て、愛南町に戻ったという菊地さん。だからこそ地元・愛南町の豊かさを日々実感しつつ、愛南町から愛媛県に、そして全国にその美味しさを伝えたいと話してくれた。
- [ きくち水産 ]
- 愛媛県南宇和郡愛南町深浦229 / TEL:0895-72-0401